食材でがん予防


毎日4~6杯の緑茶でカテキンが活性酸素を消去。発がんを防ぐ

緑茶のカテキンには強い抗酸化作用が

細胞やウイルスと戦う作用を持つ白血球を活性化させたり、助けたりするのがポリフェノールです。ポリフェノールには強い抗酸化作用があり、活性酸素を消去して、老化や発がんを防ぐ効果もあります。

ポリフェノールにはさまざまな種類があります。赤ワインにも含まれていますし、ブルーベリーのアントシアニンや、日本人に身近な緑茶に含まれるカテキンもポリフェノールの一種。毎日とるのなら、手軽なのは、なんといっても緑茶でしょう。

緑茶のカテキンは、ビタミンCより強い抗酸化作用があります。さらに玉露や抹茶入りの緑茶なら、葉がまるごと摂取できるので、1杯あたりのカテキンの量も、もっと多く摂取できます。免疫力を高めるためには、カテキンは1日約1g摂取したいもの。緑茶1杯のカテキン量は、0.1~0.2なので、毎日4~6杯をめどに飲んでみてください。


完全な栄養食、玄米を1日1食。腸の免疫力が活性化する

フィチン酸ががんの抑制に効果大

穀類の中でも、栄養面でダントツにすぐれているのは、なんといっても玄米です。

玄米には、炭水化物、タンパク質、脂肪、ビタミンB群、亜鉛やマグネシウムなどのミネラル類など、体に必要な栄養素のほとんどが含まれています。つまり、玄米は一品で多くの栄養素を含む完全な栄養食なのです。

また、精製されていない玄米には食物繊維が白米の3~4倍も残っているため、便通を促し、便秘の予防・改善に役立ちます。便通がととのえば大腸の働きがよくなり、大腸の免疫機能も活性化されるはずです。

さらに、玄米に含まれるフィチン酸という成分は別名「IP6」といい、食物繊維の中に含まれるイノシトールにリン酸が結合した物質で、強い抗酸化作用を持っています。そのため、老化や発がんを抑制します。米・メリーランド大学のシャムスデン博士は国別の「大腸がんの増加と食物繊維摂取量」との関係を研究し、IP6ががんの抑制に大いに寄与すると発表しています。

また、最近注目されているのが玄米に含まれるγ‐アミノ酪酸(ギャバ)と呼ばれる成分。これにはコレステロールや血糖、血圧の低下作用があることが明らかになっています。

玄米は栄養満点で、大腸の免疫機能をアップし、大腸がんの抑制効果もあるのですから、1日1回は、主食を玄米にかえてみる価値は十分にあるといえるでしょう。 


刺し身のキラーT細胞が体内に入った異物を退治する

青背の魚を生でとるのがベスト

キラーT細胞とは、免疫をつかさどる白血球中のリンパ球のひとつで、侵入した異物やウイルスを退治する、最も重要な細胞です。もちろん、がんの予防にも重要な役割を果たします。このキラーT細胞は、タンパク質を摂取することで体内に大量につくることができます。特に良質のタンパク源としておすすめなのが、あじやさば、いわしなどの青背の魚。これらには、血圧を下げ脳の機能を高めるDHAや、血管を拡張して血行をよくするEPAというn‐3系の多価不飽和脂肪酸が含まれるため、血液をサラサラにする効果もあり、総合的に免疫力を高めることが期待できるからです。

しかし、魚のDHAやEPAは煮る・焼くなどの加熱調理をすると、とけ出したり、酸化しやすくなったりしてしまいます。ですから、免疫力を高めるためには、有効成分が失われずに摂取できる「生」で食べることがベスト。すなわち、刺し身がおすすめです。刺し身が苦手なら、酢の物やマリネにしていただきましょう。


みそが胃がんの発生率を低下させる

みそを食べたラットには腫瘍が発生しにくい

広島は、太平洋戦争末期に原爆を投下され、その後、いわゆる原爆症で亡くなった人が少なくありませんでした。ところが、中には被爆したのに原爆症の症状が出ず、長生きをした人もいました。この人たちが日常的にとっていた食べ物がみそでした。

私は、このみその効能に興味を覚え、さまざまな実験を行ってきました。その過程で、みそが胃がんの発生率を抑えるらしいことがわかってきたのです。

強力な発がん物質を加えたえさに、それぞれみそ、食塩、普通のえさを合わせてラットに食べさせた結果です。

腫瘍の発生率は食塩えさの73・7%、普通のえさの68.4%に対して、みそえさを与えたグループでは57.9%。しかも、1匹のラットあたりの腫瘍の数も、いちばん少なかったのです。胃部腫瘍に限れば、みそえさグループの発生率はさらに低く、42.1%という結果になりました。

大豆自体ではなく、みそに効果が

みその原料は大豆です。大豆もさまざまな健康効果がうたわれますから、腫瘍発生を抑制しているのが大豆の成分なのか、みその成分なのかが問われるところです。

そこで今度は、みそをその仕込み時期から初期、中期、完熟期に分けて、右と同様の実験を行いました。その結果、完熟期のみその成績が最もよかったことから、大豆ではなく、大豆発酵食品としてのみそに効果があることがわかりました。胃がん予防には完熟みそが効果的。「熟成」「完熟仕込み」などと表示されたみそを選ぶとよいでしょう。

また、おもしろいことに、普通のみそでも減塩みそでも、腫瘍の発生率は同じ。つまり、血圧や動脈硬化対策としてはともかく、胃がんの発生に関する限り、減塩みそにする必要はないということも明らかになりました。


塩は量より濃度が問題。スープを2倍に薄めて飲めば、胃粘膜への刺激を減らせる

食塩が、発生したがん細胞をふやす?

「食塩は胃がんの原因になる」。これは、かなり古くからいわれてきました。統計的には確かに、塩を多くとると胃がんの発生率が高まります。ただ、なぜそうなるのか、そのメカニズムは実は現在解明途中。食塩は「焦げ」のように、それ自体が遺伝子を傷つけて細胞をがん化させるのではなく、発生したがん細胞をふやす役割を果たしているのではないかと考えられています。

食塩制限は「濃度」が問題

胃がんと食塩の関係では、その濃度がたいへん重要になってきます。たとえば、塩辛いスープを「塩辛いから」と半分に薄め、2杯にして飲んだらどうでしょうか。高血圧予防の食塩制限としては、全体の塩分量が変わりませんから無意味です。しかし、これは胃がん予防の食塩制限としては意味があります。胃粘膜は、強い刺激を受けることで傷つくわけですから、一品一品を薄味にして、できるだけ刺激をやわらげることは重要なのです。

塩を控えるというと、どうしても量を少なくすることを考えます。ですから、減塩のコツとして、「全体は薄味にととのえ、食事のメリハリと楽しみのためにI品だけ塩けの強いものを加える」という指導もいわれます。しかし、これは胃がん予防にはむしろ逆効果。塩けの強い1品の刺激が、胃粘膜に強いダメージを与えてしまうからです。


がん予防には、バランスのいい食生活

がんの予防は「禁煙」「食生活の改善」から

現在、日本で1年間に新たにがんと診断される人の数は約50万人。一方で亡くなる人は約30万人。これだけ医学が進歩し、治療技術が発達しても、単純計算で半数以上の人はがんで亡くなることになります。そんな中、驚きを持って受け止められたのが、アメリカでのがん死亡率が90年代に入り、減少傾向を示してきたことです。

イギリスのR・ドール博士によると、がんになる原因は「タバコ」「食事」「仕事・環境」が生3ずつ。アメリカでのがんの減少も、食生活の改善と、禁煙の普及によるとされています。では、どんな食生活ががんの死亡率を下げたのでしょうか。

野菜たっぷりの食生活が大腸がんを減らした

アメリカでは1991年から米国国立がん研究所の協力で「5ADAY運動」が始まりました。これは1日5サービング(サービングは「1食あたりの単位量」の意味)以上の野菜と果物を食べようというもの。全米1800組織と3万5000のスーパーマーケットが参加したこの運動で、野菜消費量は15%増加。その結果、大腸がんも減少傾向に転じました。一方、野菜摂取量が年々減少している日本では大腸がんの増加が目立ちます。

がんを予防するのは、「バランスのよい食生活」なのです。いくら成分的にいいものがあっても、そればかり食べていては、がんにならなくてもさまざまな病気の原因になってしまいます。

この食事は、がん予防に役立つ食品とその割合、1日にとりたい量の目安を示したものです。ちょうど幕の内弁当のバランスに近いことがおわかりでしょうか。研究でも、緑黄色野菜のみならず、キャベツやなす、大根などの淡色野菜に、白血球の働きを活性化させ、サイトカインというがん細胞と戦う物質を分泌させる働きのあることが判明しています。

1回の食事ですべてを満たす必要はありません。1日3食、むずかしければ3日間の食事で、バランスをとればよいでしょう。


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